開催報告/第91回研究会「医療・健康で地域をつなぐ~地域医療構想における『健康な暮らし』とは~

5月はじめからとても忙しく、ホームページを更新するのが後回しになっていました(^_^;)

気づくともう7月終わり。

昨日、事務局をしている病院経営研究会で定例会が行われました。

今回は「医療・健康で地域をつなぐ~地域医療構想における『健康な暮らし』とは」というテーマで、大阪産業大学スポーツ健康学部佐藤真治教授をお招きし、お話をいただきました。

キーワードは「社会参加」

地域における予防医療について、先生が行われている放送大学で渡嘉敷奈緒美衆議院議員をお招きしたときのお話を例にあげられました。

渡嘉敷議員は、予防医療の第1ステージとして、「誰もが同じように同じサービスを受けることができる」ことをあげ、第2ステージとして、「個人の満足度を高めていくサービスを提供する」ことをあげられています。
日本は今、第2ステージを迎えています。
地域包括ケアの最終ゴールは地域ではなく個人です。個人に合わせたサービスを提供していくために、地域という生活に密着した単位で個人のニーズを捉えていくこと、それを実現させていくことが地域包括ケアの根幹であるとのことでした。

また、地域において医療と健康をつなげていくためには、市民一人一人が地域の健康課題を自らが考えて実現させていく仕組みづくりが必要だとのことでした。自分と地域がどうつながっていくのかを自ら考えていく、それが社会参加の第一歩です。
その社会参加を促進させるための大きなポイントは、少しの金銭的報酬と「ありがとう」の言葉かけです。
ありがとうと言ってもらえる仕組みづくり、ありがとうが行き交う地域づくりが予防医療の基盤になっていきます。

「歩くこと」から生まれるつながり

さらに、予防医療の分野で先生が深く関わっていらっしゃる豊岡市の例もご紹介頂きました。

豊岡市は、「市にとってもっとも重要な財産は市民の健康である」という考えから、「歩いて暮らすまちづくり」条例を策定しています。
「歩くこと」を単なる運動という位置づけではなく、人とつながりを作るツールだと捉え、総合的な予防の取り組みを行っているとのことでした。
「健康」は自分ごと、という考え方から、歩くことをはじめとした健康づくりを行政に任せる、つまり他人ごとではなく、自らの責任である覚悟を持たせるために、「歩いてもらう」「歩かせる」ではなく「歩いて暮らす」という表現を使われています。
さらに、室内で行う健康教室ではなく、「美しい景色があれば自然と歩く意欲が湧いてくる」という考え方から、景観整備をはじめとするまちづくり計画と健康政策を合体して捉え、予防医療を促進しているとのことでした。

歩くことの広がり

前事例から、佐藤先生は、「歩く」ことは健康増進にとどまらないと言われています。
歩く人が増えるということは、家に引きこもっている人が外に出るということです。外に出る人が増えていけば社会全体がアクティブになる、社会がより一層アクティブになれば、予防医療、健康増進で地域をつなげていくことができるとの見解を示されました。

2つ目のキーワード、「コミュニティ」

後半は講演いただいた内容をふまえて、「病院が人や社会をアクティベートする方法を考えよう」というテーマでグループワークを行いました。
病院の一部を開放してはどうか?カフェのようなイベントを行ってはどうか?病院側がコミュニティのイベントにもっと参加していくべきなんじゃないか…etc とても具体的で現実的で活発な意見交換が行われました。ここで、全グループが共通して出していたキーワードは「コミュニティ」
小さなコミュニティをつなげていくこと、そのつながりで地域がアクティブになっていくのではないかという共通の認識を持つことができました。

今回ご公演いただいた佐藤先生の専門は運動生理学です。
しかし、専門分野にとどまらず、現在は行動療法や地域医療連携など、さまざまなシーンで活躍されていらっしゃいます。先生はご自身で、明確なバックグラウンドがないからこそ、枠にとらわれることなく地域で自由な活動をすることができる と言われていました。
職種や役割にとらわれることなく、その枠を1つ超える行動、つながりの持ち方が、コミュニティをアクティベートする大きなポイントなのかもしれません。

たくさんの対話が行われた、とても意義深い貴重な時間となりました。