開催報告/第94回研究会「病院完結型医療から地域完結型医療をめざす「ふくやま病院」の取り組み(現地見学会)」

10月28日(土)、第94回病院経営研究会を開催しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は見学会ということで、明石市西新町にある「ふくやま病院」さんへ病院見学をさせていただきました。

参加型コミュニティデザイン ~わからないから聞いてみよう~

ふくやま病院さんは消化器系の治療を中心とした内科・外科・整形外科のある病院です。

一般病床と緩和ケア病床、地域包括ケア病床、それに介護療養病床の合わせて105床の病床があります。

2016年に西明石から現在の場所に移転されました。
移転した場所は、距離にするとわずかですが、それでも地域性も住民の層も違います。

新病院設立に伴い、考えたことは「地域から何を求められているか?」ということ。

病院の出した答えは、「わからない」でした。

「わからない」ことの自信はあった、と理事長先生はおっしゃられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わからないから聞いてみよう」ということで、まずは院内で「病院のあるべき姿は?」という会議を行ったそうです。

新しい病院をどういう病院にしていきたいか、働く場所をどんな場所にしていきたいか、一緒に働いている職員さんのリアルな意見を取り入れて、病院づくりを行いました。

その次に地域で会議を行って、地域のみなさんの声からも新病院の構想を創り上げられたそうです。

わからないから聞いてみる、聞いてみたら様々なアイデアと意見を見つけることができた…。
職員も地域住民もみんなが参加した病院づくりのプロセスをお聞きすることができました。

待合室に本があること

ふくやま病院さんの外来待合室にはテレビがありません。

その代わりに外来にも病棟にも、たくさんの本があります。

この本はクラウドファンディングやSNSを活用して集めたものだそうです。

「あなたの本棚」のような名目で、本棚の一角を個人のものにする。そこにオススメの本を置く。

そうすると、「自分の本はどうなってるかな?」と、ふと立ち寄ってくれる場所になる。

それがきっかけとなって関わりが生まれる。

そうやって、病院と地域のつながりがどんどん広がっていくそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

職員室のような場所 ~医局+(プラス)~

どの病院でも、医局は医師のためだけのものです。医局に入るのは少し緊張します。

ふくやま病院さんの医局は、医師だけではなく、看護部長や診療部長、院内の各職種の長が集う、職員室のようなかたちになっています。

その名も医局+(いきょくプラス)。

 

 

 

 

 

 

 

 

医局に入る、という心理的なハードルを下げて、職員さんが相談に来やすいように、みんなが気軽に入って来れるような、そんなデザインになっているそうです。

みんなが同じ部屋で過ごすことで、ちょっとした雑談がプチカンファレンスに発展するなど、些細なことから大切なことまで、密なコミュニケーションが取れるようになったとのことです。

バックアップ連携 ~早期から切れ目のない緩和ケア~

ふくやま病院さんは緩和ケアに力を入れられています。

一般的に、ガンの診断を受けた患者さんは、急性期病院で抗がん剤や放射線などの治療を受けます。

ガンが進行し、治療法が無くなった時点で、BSC(Best Supportive Care)を行う医療機関に移ることが多いのですが、この流れだと患者さんには大きな不安感がつきまといます。

「治療がなくなったら病院に行けなくなる…」そんな不安を無くし、患者さんと治療の経過を共有し、治療も生活も安心して送る体制を整えるために、バックアップ連携という体制を整えていらっしゃるそうです。

がんセンターなどと協力し積極的治療を早期から開始し、切れ目のない医療で、患者さんの生活を支える緩和医療を提供されていらっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の空間 

ふくやま病院さんは、新病院設立にあたり、山崎亮さんが代表をつとめるStudio-Lさんとともに、コミュニティデザインから病院の設計を考えられたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たくさんの光を取り入れた開放的な空間や落ち着いた風合いのファーニチャー、地域の人たちが自由に使えるようなコミュニティスペースなど、病院らしくない心地よい場を感じることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地域の子どもたちが描いた海の黒板と山の黒板。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あちこちに地域の人たちの参加の足あとを見ることができます。

また来てねといえる病院を目指して

11月1日で、移転から1年を迎えられるそうです。

新しい病院づくりとしてスタートし、さまざまな発信をされた1年。

「また来てね」と言える病院を目指して、これからはより一層地域に根ざした医療、病院として進まれるとのことでした。

とても静かで穏やかに、けれどたくさんの熱い思いを込めて、長い時間お話をいただきました。
参加者全員が、新しい視点や考えを自院や職場につなげていくためのとてもよいきっかけになりました
譜久山理事長先生、院長先生、そして在宅医療部長の桐野さん、本当にありがとうございました。